膀胱瘻と上手に付き合うには 

     基礎知識編

1.膀胱瘻(Vesical Fistula)とは
 膀胱の排尿機能に関与している部分が障害を受け、膀胱が正常な機能を維持できなくなった場合、尿道を通さず排尿を可能にする尿路変更術を行います。腹壁を通して膀胱内に直接カテーテルを挿入して排尿する方法を「膀胱瘻」と言い、病巣が治ったあとで元に戻す「一時的膀胱瘻」と「永久膀胱瘻」とがあります。
 腹壁から膀胱まで3〜4pしかないことから、尿道からカテーテルを入れる方法よりも感染の恐れが小さくなり、清潔を保ちやすい方法と言われています。





(図-1)膀胱・直腸・前立腺の位置 (図-2)膀胱及び腎臓断面図 (図-3)膀胱内にカテーテル挿入図

2.尿路変更術のいろいろ
 腎臓は血液の中に溜まった老廃物を尿として排泄する働きを担っており、大変複雑な仕組みによってこれらが行われています。上図のように脊椎をはさんだ腰のあたりの両側に左右一つずつあり、にぎりこぶし程度の大きさでそら豆のような形をしています。
 腎臓には一分間に一リットル程度の血液が心臓から送られ(心臓から全身に送られる血液の量は、一分間に4〜5リットルですから、全体の1/5〜1/4が腎臓に来ることになります)腎臓内の濾過装置(糸球体)で濾過され、体にとって不要な物質のみが原尿の100分の1程度に濃縮されて尿として排泄されます。
冒頭で述べましたようないろんな要因で正常な膀胱機能や排尿の営みが正常に機能できなくなった場合、尿道を通さず強制的に排尿を行う手術を行います。
 強制的な排尿術の方法を大別すると下記のようになります。

◇膀胱を残す場合 膀胱瘻 腹壁から膀胱へカテーテルを入れて排尿
腎于瘻 腹壁から腎盂にカテーテルを入れて排尿
尿管皮膚瘻 尿管を切断し、腹壁に取り付けて排尿
◇膀胱を全部摘出
  する場合
回腸導管 小腸の一部切除、腹壁に取り付けて排尿
導尿型人工膀胱 小腸で人工膀胱を造設、カテーテルで排尿
自排尿型人工膀胱 小腸で人工膀胱を造設、尿道に繋いで腹圧で排尿。男性のみ可能
◇その他の場合 尿道カテーテル留置 尿道にカテーテルを留置して排尿
自己導尿 尿道にカテーテルを挿入して強制排尿
(1)膀胱瘻(Cystostomy
恥骨上部の下腹部から腹壁を通して膀胱内にカテーテルを挿入し、永久もしくは一定期間の間尿を体外に排出する方法を言います。
3〜4週間に一度カテーテルの交換を行います。
排尿は自然排尿法で、体外の蓄尿バッグに溜めて排泄する方法となります。
◇造設術が比較的簡単。
◇体外で尿を溜める袋(蓄尿バッグ)が必要です。
◇一定期間(約4週間)同じカテーテルを体内に留置した
 ままになり、細菌が繁殖しやすくなります。(感染症にか
 かりやすくなります)


(図-4)
(2)腎盂瘻(Nephrostomy / Pyelostomy
腎臓からの尿管が、何らかの原因(癌細胞の転移等)で外部から圧迫されると尿の流れが悪くなり、腎臓が腫れて水腎症や腎不全という状態になります。
腎臓の中の尿管に繋がる腎盂にカテーテルを挿入し、永久もしくは一定期間の間体外へ尿を排出する方法を言います。
排尿は自然排尿法で、体外の蓄尿バッグに溜めて排泄する方法となります。
◇体外で尿を溜める袋(蓄尿バッグ)が必要です。
◇一定期間同じカテーテルを体内に留置したままに
 なり、細菌が繁殖しやすくなります。(感染症にかか
 りやすくなります)


(図−5)
(3)尿管皮膚瘻(Uretero-Cautaneo-Stomy
尿管を切断し、腹壁に穴を開けて尿管を体外に引き出す方法を言います。
二本ある尿管を左右の腹壁にそれぞれ引き出す場合と、二本をまとめて左右どちらかの腹壁に引き出す場合とがあります。
排尿は自然排尿となります。
◇腹壁に尿管で作ったストーマの造設が必要です。
◇体外で尿を溜める装具(パウチ)が必要です。
◇装具を常に装着する(貼り付ける)のでスキンケアーを
 良く行わないと皮膚障害が起こりやすくなります。

(図−6)
(4)回腸導管(Ileal Conduit
小腸の一部を切り取って尿管とつなぎ、一方を閉鎖し、もう一方を腹壁に縫いつけて尿を排出する方法を言います。
尿の出口のことをストーマと言い、尿を溜める皮膚保護材の付いた袋(パウチ)を貼り付けて尿を溜めて管理します。
尿は自然排尿となり、断続的に尿が出てきます。
◇腹壁に腸管で作ったストーマの造設が必要。
◇体外で尿を溜める装具(パウチ)が必要です。
◇装具を常に装着する(貼り付ける)のでスキンケアーを
 良く行わないと皮膚障害が起こりやすくなります。
◇合併症の少ない手術方法です。
(図−7)
(5)導尿型人工膀胱造設術
腸管でパウチ(尿を貯める袋)を作り、腎臓からの尿管をこのパウチにつなぎ、排泄される尿をこのパウチに貯めます。
また、パウチ内からの尿の逆流を防ぐ為に逆流防止弁を設け、腹壁に腸管で作ったカテーテル挿入口を設ける方式を言います。
排尿は設けられたストーマからカテーテルを挿入して行います。ストーマにはガーゼをあてて管理します。
◇腹壁に腸管で作ったストーマの造設が必要です。
◇手術前と生活スタイルを変える必要はありません。
◇装具を付ける必要はありませんが、導尿の道具を常に
 携帯しなければなりません。
◇就寝後も1〜2回の導尿が必要となります。

(図−8)


     実際編

3.膀胱瘻造設術について
 以下私が受けた造設術を元に経験談として説明します。(詳細をお知りになりたい方は主治医もしくは病院の泌尿器科にご相談下さい)
 局所麻酔で恥骨上部から膀胱に特殊カテーテル(先が針状になったもの)を挿入します。膀胱の正しい位置にカテーテルを挿入する為に、レントゲンや超音波を使用しながら、事前に膀胱を膨らませた状態で針を入れます。
内臓への接触や膀胱内の重要血管を傷つけることを避ける為に、相当経験を積んだ医師の手術が必要です。
患者の状態にもよりますが手術の時間はおよそ1〜2時間程度です。
 
※下記の写真はいずれも手術後二週間のもので、カテーテルは堅くて長いものが使用されて
  いますが、その後のカテーテル交換時には柔らかくて短いシリコン製が使用されます。
カテーテルを恥骨上部より
膀胱へ挿入
(写真−1)
カテーテルの挿入位置は、恥骨
周辺の転移の関係で正常位置
よりはずれて造設してあります

(写真−2)
4.日常生活をより快適に過ごす為のちょっとした工夫
膀胱瘻の造設によって今までとはまったく違った日常生活を余儀なくされることになり、大部分の方々は戸惑いと不便さとに悩まされることになります。
しかしながらここでちょっとした工夫をすることで、不便さからある程度回避出来ます。
以下私の一寸した工夫をご紹介します。

@特製下着(パンツ)の製作
 この特製パンツの利点は、溜まった「尿の重さに耐えられる」ことと「肌の感触がレッグバッグのビニールそのものの感触ではなく、布の感触を得られる」ことです。
是非製作されることをお奨めします。
蓄尿バッグを安定して支え
る為にパンツに蓄尿袋
を縫いつけたものを製作

(写真−3)
利点は尿が溜まった時の重
さに耐えられることと、ズ
ボンの上から目立たない

(写真−4)
パンツに袋を縫いつけたもの
/Aタイプ

(写真−5)
パンツに袋を縫いつけたもの
/Bタイプ

(写真−6)

上記パンツの写真−5と6(A,Bタイプ)の特徴を整理すると下記となります。
 ☆Aタイプ(写真−5)の場合
  ・ズボンの前(太股の前面)に位置します。
  ・但し、歩く際に若干のふくらみがズボンの折り目付近に出来ます。
  ・レッグバッグの取り出し(尿の排出)が楽です。
 ☆Bタープ(写真−6)の場合
  ・ズボンの内側(太股の内側)に位置します。
  ・歩く際に目立ちません。
  ・レッグバッグの取り出しがAタイプ(写真−5)に比べて若干面倒です。
  ・上記(1)と比べると、太股は感じやすい部分なので違和感が多少あります。

両方とも一長一短がありますが、私の場合は両方を使い分けており、外出する場合はズボンの上から目立たない方を優先してBタイプ(写真−6)を使用し、休みの日はレッグバッグの取り出しが楽な方のAタイプ(写真−5)を使用しています。
製作に関しての留意点は下記です。
 
※留意点
  
造設手術直後のカテーテルは管が固く長いものが使用されており、二度目の交換からは柔らかく短いカテーテルが使用されます。
従って、手術直後のカテーテルに合わせてパンツを製作してしまいますと、二度目のカテーテルとはサイズ(位置)が合わなくなってしまいます。
二度目に使用するカテーテルが今後ずっと使用するカテーテルとなりますから、これに合わせて製作する方が良いでしょう。

A感染症を防ぐ消毒薬の準備
 写真のようなスプレー式の容器を購入し、消毒用のアルコールを入れてトイレや袋を洗浄する場所に置いておくと、必要なと時にすぐに使用出来て便利です。



【スプレー式アルコール容器】
薬局や化粧品売り場で手に入れることが出来、大きさもいろいろ有ります。








(写真−7)

B採尿バッグを吊り下げる移動式スタンドの準備
 私の場合、日中はレッグバッグを使用し、睡眠時は採尿バッグを使用するようにしています。
この場合、採尿バッグは通常ベッドの側に置きますが、時には部屋の中を移動しなければなりませんので、簡単に移動できて吊り下げられる採尿バッグスタンドが必要になります。
写真は、使わなくなったギタースタンド(高さ調節が出来るもの)を代用した例です。



◇移動できるスタンドが最も
  使い勝手が良い。
◇高さ調節は、腹壁から出
  ているカテーテルの位置
  は必ず蓄尿バッグよりも
  高い位置となるようにする
  こと。

(写真−8)
5.感染症と予防
腹壁を通して体の中に直接挿入されているカテーテルは、細菌の進入路になりやすい事を認識し、尿量や尿の状態等々を常に観察し、異常のサインがあれば速やかに主治医に相談することが大切です。
<異常のサイン>
 ・尿の臭いが強くなったり、尿が濁るとき
 ・発熱、悪寒があるとき
 ・出血がみられるとき
 ・充分な水分補給があるのに、尿の排出量が少ないとき
 ・カテーテルの周囲に多量の尿漏れがみられるとき
ここでいう感染症は、細菌感染による膀胱炎が圧倒的に多く、具体的な細菌の進入箇所としてカテーテルの挿入部、接続部、及びバッグの排水口が最も注意すべき部分です。
下記の点を実行することで細菌の進入をある程度予防することができます。
◇流水による手洗いの実行
◇綿棒やガーゼの体に触れる部分には絶対に触れない
◇消毒の際の綿棒は、一度使用した面で次の傷口に使用しないこと及び決し
  て消毒液に戻さないこと
◇入浴の際はカテーテル挿入部のガーゼの上に市販の水の滲入を防ぐ保護
  用フィルムを貼ったり、入浴後は挿入部及び接続部の消毒を行って下さい
◇カテーテル挿入部はイシジンで消毒し、接合部・排水口はアルコール消毒を
  行います
◇カテーテルが折れたりねじれて尿の流れが悪くなっていないかを常にチェッ
  クする(尿の流れが悪くなると細菌が繁殖しやすくなる)

◇充分な水分補給をすること(排尿を繰り返すことで、膀胱内やカテーテル内
  に存在する細菌が尿と共に体外に排出されます)

  但し、感染症にかかった場合、水分補給で排尿を繰り返すだけでは治癒し
  ないので必ず主治医に診てもらうようにして下さい(これは単に細菌が尿と
  共にある程度体外へ排出されただけのことで、細菌が死滅したわけでは
  ないのです)
6.傷口の管理と消毒
@傷口の消毒で事前に下記の物品を準備しておきましょう。
 ・消毒薬(イソジン)
 ・綿棒(消毒済みのもの)
 ・減菌ガーゼ(厚めのもの)
 ・ガーゼを止める為の絆創膏
 ・カテーテルを止める為のテープ(肌荒れ防止用テープ)
A消毒の前に、流水を使って手を石鹸できれいに洗います。
  また、感染症を防ぐ為に上記で準備した綿棒やガーゼの体に触れる部分には
  極力触れないようにしましょう。 
B腹部から出ているカテーテルの付け根部分を綿棒に付けたイソジン消毒液で、
  手術後2週間は毎日、それ以降は二日に一度位の頻度で消毒します。
  (写真-9参照)
   イソジンでの消毒は、カテーテル挿入部分から外側に向かって消毒し、一度
  使用した面は細菌の移動を防ぐ為、次の傷口には使用しないようにして下
  さい。
C消毒の後カテーテルの付け根部分には、Yの字に切った厚めのガーゼを上に
  置き、これを肌荒れ防止用テープで止めておきます。(写真-10参照)
Dカテーテルは、腹部から出ている部分に若干のゆとりを持たせて絆創膏で貼り
  付けます。
  ここがしっかり固定されていなと、カテーテルが引っ張られた場合、膀胱からカ
  テーテルが抜け出てしまうことがありますので注意が必要です。 
E絆創膏の接着剤が皮膚に付いて取れない場合は、市販の剥離剤やベンジンを
  使用してふき取り、そのあとを濡れタオルできれいにふき取ります。(強くこすり
  すぎると皮膚を痛めてスキントラブルの原因となりますので注意が必要です)
  肌が特に弱い方は、テープや絆創膏を貼る前に肌に塗って保護膜を作る皮膚
  保護剤が市販されていますので、これを使用すると良いでしょう。

  下記の写真9&10は、手術直後の写真の為、カテーテルは造設術用のもので
  (青い部分がそうで、先が針状になっている)、長さが通常よりも長いものが使
   用されています。
  写真11は最初のカテーテル交換後のもので、シリコン製で長さが短くなって
  います。
イソジン消毒
(写真−9)
ガーゼとテープで固定-(1)
(写真−10)
ガーゼとテープで固定-(2)
(写真−11)
7.カテーテル管理と尿の観察
カテーテル管理のポイント
 手術数日後の最初の検診ではカテーテルの交換は行われませんが、3週間〜1ヶ月後に最初のカテーテルの交換が行われ、その後定期的にカテーテル交換が行われます。
交換のタイミングは病院・主治医の判断によって違いますが、通常3〜4週間毎に交
換します。
 以下カテーテル管理のポイントについて述べます。

 @造設手術直後に使用するカテーテルには目盛が刻印してあり、主治医が指示した
   目盛の位置にカテーテルがあるかどうかをの確認(指定された目盛からずれてい
   ないかどうか)を常にして下さい。
   指示された目盛からずれている場合は、カテーテルが当初挿入した点から抜け出て
   いることになりますから、速やかに主治医若しくは病院へ連絡するか通院して下さい
   →最悪の場合は再手術が必要になる場合がありますので、即刻病院へ。
 A上記したことを避ける為に、カテーテルにゆとりを持たせ、ループ(曲線)を作って体
   の1〜2カ所程度を肌荒れ防止用テープで止めるようにします。
   (写真−10〜11参照)
 Bカテーテルが折れ曲がっていないかどうか、尿がちゃんと流れているかどうか、睡眠
   の場合は体の下敷きになっていないかどうか等々の確認を常に行うようにしましょう。

尿の観察
 @異常を早く察知して治療する為に、日常の体温の観察はもとより特に下記の観察が
   重要です。
     ・尿がカテーテル内を流れているかどうかの確認
     ・尿量
     ・浮遊物の有無
     ・血液の混入
     ・臭い
   発熱があり、浮遊物が多く、悪臭がある場合は尿路感染症をおこしている疑いが往々
   にしてあります。
   異常が有る場合は尿路感染症の疑いもあり、このような場合は速やかに主治医に
   診てもらいましょう。
 A充分な水分補給や、ビタミン剤、ヨーグルト摂取等は尿路感染を抑制することが知ら
   れていますので、積極的に摂取するように心がけて下さい。
 Bチェックリストの作成
   毎日の排尿量をチェックしていると、体の変調が判断しやすくなります。水分補給の
   量にもよりますが、通常1,500ccから2,000ccの尿量が感染症防止の観点からも良い
   とされています。
   私のケースでは下記のようなチェックリストを作成し、異常があった際には主治医に
   このリストで報告するようにしています。
日付 時間 体温 尿量cc 特記事項:
12月2日 7:00 36.5° 150
8:30 100 血尿あり(ピンク色)
10:30 150
合計 1,950
   ※レッグバッグには尿量を計る為の目盛がついていません。
    計量カップにお湯を入れて50,100,150,200cc毎にお湯をレッグバッグに注入し、
    マジックで目盛を付けておくと便利です。
8.スキンケアー
ストーマケア「実際編-(2)」の「5.皮膚の手入れ(スキンケア)について」でも述べましたが、皮膚の上からテープや面版(フランジ又はベース)等を貼り付けた状態は皮膚呼吸が阻害された非常に悪い環境にあり ます。
このことは、いつスキントラブルを起こしても不思議ではない環境にあり、ひどい場合には皮膚がただれて(=びらん)その治療だけでも大変な時間と労力を伴わなければならない場合が生じます。
このように生活に支障が出るような状態を回避するには、手入れを頻繁に行い、入浴等で常に皮膚を清潔に保つことです。
また、特に皮膚の弱い方は、テープ等を貼る前に市販の皮膚保護剤を塗布してその上からテープを貼る方法もあり ます。
消毒の日や入浴の日が、皮膚の手入れのチャンスです。
日頃の状態をよく観察して、皮膚を常に清潔に保つようにして下さい。

※留意点
 ◇肌を強く引っ張ったり強くこすらない
 ◇皮膚の観察と手入れを頻繁に行い、常に皮膚を清潔に保つ(入浴は非常に
   効果的)
 ◇絆創膏やテープを貼る位置を毎回変える
  (かぶれたり、かゆみや水ぶくれ等の異常が出た場合は、絆創膏の種類を変
  更したり、早めに主治医に相談しましょう。早めの治療が悪化を防ぎます)

 
◇皮膚の弱い人は、テープを貼る前に皮膚保護材を塗布する
9.水分補給
 細菌感染や結石の予防の意味合いから水分補給は非常に大切です。目安としては一日3,000〜4,000CCの水分をとるよう心がけると良いでしょう。(一日の尿量がこの水分補給で変化しますが、尿量が一日1,500cc〜2,000ccは保てるようにしましょう)
充分な水分を通じて排尿を繰り返すことで、膀胱内やカテーテル内に存在する細菌が尿と共に体外に排出されます。(重要事項の為「5.感染症と予防」の項を参照のこと)
10.蓄尿の方法と実際
 カテーテルを通じて排泄される尿をレッグバッグや蓄(採)尿バッグに溜め、随時廃棄します。
(1)装具について
【装具の種類】
 ◇採尿袋(Urinal
   これらを総称して「ウリナール」と言いますが、英語訳では「小便器、小便所、しび
   ん」となります。
 ◇レッグバッグ

   足に小型蓄尿バッグを取り付けて使用するもので、特に行動的に歩き回る時や外出
   時に使用します。
   下着に縫いつけたレッグバッグ収納袋(写真−3〜6参照)に収納したり、名前の通り
   足に付けて使用します。  
 ◇蓄(採)尿バッグ
  特に睡眠時に使用しますが、蓄尿容量が大きい(2,500〜3,000cc)ことから頻繁に尿を
  廃棄する必要が無いのが特徴です

 
レッグバッグセット540(Hollister) インケア・レッグバッグ(Hollister) レッグバッグセット装着例(Hollister)
蓄尿バッグ(JMS) 採尿バッグ(パウチ接続用/Alcare)
【Hollister製品カタログ表記の紹介】
◆インケア・レッグバッグ(減菌)
 ・容量が大きくなっても目立たない、タック構造。
 ・逆流防止弁付きで、感染の問題を軽減します。
 ・臭いの心配がない防臭フイルム使用。
 ・尿の処理はワンタッチクランプで簡単です。
 ・膀胱内留置カテーテルなどにも使用できます。

◆レッグバッグセットは540ogと900ogとがあります。
◆単体発売品としてインケアチューブ、インケアストラップ
 (レッグバッグを足に固定する為のバンド)等があります
【Alcare製品カタログ表記の紹介】
◆ユーケアーレッグバッグ
 ・ストーマ袋と接続することにより、簡便に蓄尿量を増やせま
  す。
 ・足下に蓄尿することで、パウチ粘着部への負担を軽減しま
  す。
 ・肌側の不織布は汗を吸収し、快適な使用感を提供します。
◆採尿バッグ
 ・各種パウチに接続することで、夜間等の蓄尿に最適です。
 ・逆流防止弁がパウチへの尿の逆流を防止します。
 ・当社ウリナリーパウチとワンタッチで接続可能。
【装具の交換時期】
 カテーテルの接合部や蓄尿袋(レッグバッグ、蓄尿バッグ)の中及び接合部や排水口は細菌の進入路となっていますので、長期間の使用は細菌が繁殖しやすい環境になります。また蓄尿袋(レッグバッグ、蓄尿バッグ)には尿の逆流防止弁が付いていますので、長期間使用して尿の塩類等が付着すると詰まってしまい、尿が流れなくなってしまったり尿が逆流して感染症の原因となります。
このことから、私の場合は下記を目安としています。

◇レッグバッグ・・・・・・・・・・・8時間程度経ったら、尿を空にするようにします
                 3〜4週間で廃棄(カテーテルを交換する時期と同じ)
◇蓄尿バッグ・・・・・・・・・・・・3〜4週間で廃棄
 
※留意点
日中はレッグバッグを使用し、睡眠時は蓄尿バッグを使用する場合は、バッグを交換する際に下記のような事を必ず実施することで感染症の予防に努めて下さい。
 ◇流水でバッグの接合部、内部をよく洗い流すこと
   酢2に対して水3の割合で洗浄液を作るか、塩素漂白(薄めて使用)
   で20分程度の洗浄及び脱臭をすると衛生的でなお一層良いでしょう。
 ◇再使用時は、接合部及び排水溝を必ずアルコール消毒すること
 ◇2週間に一度位は上記した洗浄液やアルコールで内部も消毒すること
(2)コネクター(接続部)について
(1)カテーテル接合部 (2)レッグバッグ接合部
(3)蓄尿バッグ接合部 (4)蓄尿バッグ接合部/
パウチ接続用
※留意点
(1)使用しているカテーテルとレッグバッグ、蓄尿バッグの接続が合うかどうかを購入
  前によく確認して下さい。
(2)泌尿器系パウチとの接合を前提にしている場合は、メーカー同士の商品でしか
  接続できない場合がありますので注意が必要です。
※上記の例では、(1)のカテーテルに対して(2)のレッグバッグ及び(3)の蓄尿バッグは
  接続でき ますが、(4)の蓄尿バッグはパウチ接続用で接続部分の形状が違う為
  接続出来ません。
(3)蓄尿と排泄について
 膀胱瘻の場合は自然排尿となりますから、ある程度尿が溜まればトイレに捨てるだけで、特別のことをする必要はありません。
下記の点に注意してトラブルが発生しないようにしましょう。

◇蓄尿袋(レッグバッグ、蓄尿バッグ)に触れる前と後には、手を洗いましょう。
◇尿を廃棄したあとは、排水口をチリ紙やティッシュで拭くようにしましょう。
◇蓄尿袋(レッグバッグ、蓄尿バッグ)は流れを良くする為に、体に入っている
  カテーテルの位置よりも低い位置にくるようにしましょう。

◇カテーテルが折れ曲がっていないかどうか、尿がちゃんと流れているかどう
  か、睡眠の場合は体の下敷きになっていないかどうか等々の確認を常に
  行うようにしましょう。

◇廃棄する前に尿の状態(色、出血、にごり、尿量、臭い)を観察しましょう。
◇尿をためすぎるとカテーテルや皮膚に重量がかかり、トラブルの原因となり
  ますから、早めに空けるようにしましょう。(就寝時、起床時、食後は必ず
  実行しましょう)

 
11.入浴について
 入浴はレッグパックを装着したままでしますが、下記の点をポイントにして下さい。
◇カテーテル挿入部のガーゼの上に市販の水の滲入を防ぐ保護用フィルム
  を貼って入浴します。(参考/オプサイト フレキシフィックス防水フィルム、
  ARCARE入浴用ミニパッド商品コードNo.12651)

◇入浴後は挿入部及び接続部の消毒を行って下さい。
◇カテーテル挿入部はイシジンで消毒し、接合部・排水口はアルコール消毒
  を行います。
◇絆創膏、テープ、ガーゼを使ってカテーテルの固定を行います。(詳細は
  「6.口の管理と消毒」を参照

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