The Pain 

痛みとの闘い
 この章では私自身が直腸癌で人工肛門手術を受けた直後から始まった疼痛との闘いを踏まえながら、主治医及び聖隷浜松病院疼痛特別チームの方々や疼痛専門書等々を通じて学び実践した「癌性疼痛緩和治療」について述べていきます。
 これらの実践や経験が、現在私と同様に疼痛で苦しんでおられる方々にとってお役に立てることを期待しています。

※以下、痛み止めに関するいろいろな薬や治療方法が出て参りますが、個々人によって病気そのものや症状が違うことから、薬の服用や治療に関しましては必ず医師の診察・処方・指示を受けてから実施することをおすすめします。

1.疼痛の始まりと推移
※病院は、’98年12月〜’00年3月までは浜松医療センター、Second Opinionで’00年5月より聖隷浜松病院へ転院
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 備考:
1998年
(H10年)
12/9 人工肛門
大腸癌手術入院
1999年
(H11年)
 1/26
退院(浜松医療センター)
2000年
(H12年)
2/26 3/6 9/15 腸閉塞入院('01年1月まで)
腸閉塞入院 10/5 手術
4/21 10/12 腸閉塞再発
松田病院CT検査
5/8 7/8
疼痛治療入院(5/19〜6/30迄放射線治療31回50〜60gray照射)
2001年
(H13年)
1/21 9/3 12/12
退院 点滴&放射線治療入院
2002年
(H14年)
5/29 6/25
点滴+会陰部への放射線20回照射
10/2〜20
腎不全+膀胱瘻手術入院
2003年
(H15年)
4/15 6/5 10/21〜22
腸閉塞&腸バイパス手術入院 疼痛治療入院/クモ幕下フェノールブロック治療実施
補足説明
◇1998年末の人工肛門造設手術から8ヶ月で、切除部分に激痛が発生しました。
  最初の手術でガン細胞を取り切れていなかったものと思われ、ここから大腸癌局所転移と激痛との
  闘いの幕が切って落とされました。
◇1998年末から2003年11月までの5年間で9回の入退院を繰り返し、4度の手術と3度の放射線治療
  を行いました。疼痛治療の為の投薬や神経ブロック治療は今も継続中です。

2.疼痛部位とその変化
 1998年12月に浜松医療センターで人工肛門増設手術を受けましたが、8ヶ月後の翌年1999年9月には痛みが激しくなり痛み止めの投与が始まりました。以後2000年4月に胃腸肛門病の専門病院である松田病院でCT検査を受けるまでの7ヶ月間は、何度も主治医に「こんなに痛いのはおかしいのでは」と聞いても「異常なし」の答えしか返って来ませんでした。
松田病院に於けるCT検査の結果は「元肛門部周辺への癌細胞転移」と診断され、私の希望もあって現在の聖隷浜松病院大腸肛門科へ紹介状を書いて頂きました。
 その後のHistoryは前述の「1.疼痛の始まりと推移」をご覧頂ければ一目瞭然ですが、「大腸癌局所転移」という病名の元、前立腺、会陰部、膀胱へと転移が進み、4度の手術と3度の放射線治療及び腸閉塞や膀胱瘻を併発、疼痛治療入院等々の重なる入退院を繰り返しながら、疼痛との付き合いは今年で4年以上に亘り、現在に至っています。
 明るい情報としては、2003年に聖隷浜松病院に新設された「ペインクリニック」で「くも膜下フェノールブロック治療」を実施して頂いた結果、長年苦しみ抜いた激痛箇所が治癒(激痛が無くなった)したことです。ただし、現在は、恐らくこの激痛で隠れていたであろう部分の痛みが顕在化し、疼痛緩和治療(鎮痛薬と神経ブロック)は毎週継続中です。
 以下疼痛部位の変化について記述します。(赤色に塗った箇所が痛む部分を示しています)

下記の図は、肛門が存在する図となっていますが、実際は人工肛門で閉じられています。
1999年9月〜2003年10月まで 2002年1月〜2003年10月まで 2003年11月現在
  【肛門図と激痛箇所】
激痛箇所は手術で閉じられている元肛門部分。
  【肛門&会陰部激痛箇所】
前立腺、膀胱、会陰部へと局所転移が進んだ結果、痛みの箇所が元肛門部から絵陰部、恥骨部部へと広がった。
  【肛門&会陰部激痛箇所】
元肛門部の激痛は「くも膜下フェノールブロック治療」で皆無となったが、骨盤内側角の部分と睾丸の一部及び恥骨周辺の痛みが顕在化した。

3.痛み止めに使用した薬一覧(他の併用薬を含む)
 治療の効果を充分に得られるよう、薬に対する正しい知識を持つことは大変重要なことです。最も重要な事は、主治医から処方された薬は「どのような病気に効くのか」を正しく知ることと、薬を飲む方法のことを「用法」と言いますが、袋若しくは説明書に書かれてある「用法を必ず守る」ことです。
 用法を守って薬を正しく服用しなければ効果が得られないばかりか、副作用が出てくる場合がありますので注意が必要です。
 以下私が服用した薬をご参考までに列挙します。

 ※赤字は2003年11月11日より変更になり服用している薬です。
大別 薬品名 効果 大別 薬品名 効果
痛み止め カディアン 強い痛み止め 排尿関連 ハルナール 排尿障害改善
塩酸モルヒネ錠 ラキソベロン 排便促進
ボルタレン座薬 ソレトン錠 炎症抑制
ボルタレンSR
ウブレチド 膀胱収縮
デュロテップパッチ 精神 110 精神安定剤
MSコンチン メチコバール 神経改善
ペンタジン アモバン錠 睡眠薬
SELBEX リスミー
オキシコンチン(New) ハルシオン
ソレトン錠 痛みと炎症止め
ノイロトロピン
ロキソニン リボトリール 興奮抑制
胃薬 アセナリン錠2 胃腸、胸焼け アナフラニール 精神活動活発化
ガスター錠 胃酸分泌抑制 トフラニール 不安解消
セルベックス細粒 胃腸粘膜保護 メキシチール 脈の乱れ抑制
ムコスタ錠 その他 テキサルチン軟膏 口内炎治療
タケプロン錠 アロプリノール含軟水
ナウゼリン錠 食欲不振
ベサコリン散 胃腸活発化 ※1)キンダーベート 皮膚炎治療
腸薬 PD2 下痢止め ※2)ロコルテンローション
ロペミン リンデロンVG軟膏 皮膚炎症治療
エントモール散 下痢便秘改善 ※3)クラビット錠 感染症治療
ビオフェルミン抹 腸菌バランス改善 抗癌剤 UFTカプセル 癌細胞機能抑止
酸化マグネシウム細粒 便を柔らかく ソルデム3A500ml5−FU
ラキソベロン 排便促進 トポテシン
大健中湯(ツムラ100) 腸蠕動運動調節 Sauramide100r(Jun.'03)
Celebrex200r(Jun.'03)
★補足説明
◇新薬が次々と出ており、上記ではオキシコンチン(2003年4月認定、7月発売)が新たに認可さ
  れた薬で、私の場合は2003年11月よりベースとなる鎮痛薬をデュロテップパッチからオキシコ
  ンチンに変更し服用を開始しました。

◇今までは激痛を回避する為に痛み止めを多量に服用するようになり、結果胃腸障害や激痛による
  睡眠障害等々が度々発生し、服用薬の種類も増えました。
◇癌細胞転移及び放射線治療障害により前立腺と膀胱に障害が発生し、排尿関連の薬を服用する
  ことになりましたが、最終的には病状が悪化して膀胱瘻増設(2002年10月)となりました。
★注意事項
  
※ここに列挙した薬は、私が二箇所の病院の主治医から処方された薬ですから、同じ薬を第三者
    が服用する際には、医師、薬剤師による処方と指導が必要です。

  
※1)キンダーベート※2)ロコルテンローションはステロイド系の薬で「長く使用し続けると副作用
     が出る恐れのある薬」です。

  
※3)クラビット錠は「胃薬と一緒に服用しない」と注意書きがある薬です。

4.疼痛緩和の基本的な考え方
 聖隷浜松病院に於ける主治医及び疼痛緩和チーム(特別編成)が考えて下さった私に対する疼痛緩和の基本的な考え方は、ベースとなる鎮痛薬を服用することで一日中緩やかに鎮痛作用を持続させ、加えて突発的に襲って来る疼痛には、臨時の即効性鎮痛薬(=レスキュー鎮痛薬)を併用して疼痛緩和を行うと言うことです。
ヒネ系
(ベースとなる鎮痛薬)
非ステロイド性消炎鎮痛
(レスキュー鎮痛薬)
モルヒネ系+非ステロイド性消炎鎮痛薬併用
(ベース+レスキュー)
痛み(疼痛)
 また、鎮痛剤の使用を鎮痛剤の効き方で仕分け(WHOの3段階ラダーという仕分け方)段階的に捉え、医師や薬剤師が患者の身体的な痛みと精神的な痛みを評価して、私に最適な薬剤と投与量及び投与方法のプログラムを組んでくれました。
弱↓強 第一段階 非ステロイド性消炎鎮痛剤 ロキソニン、ボルタレン、ソレトン等々
第二段階 弱オピオイド(モルヒネ系) オキシコンチン、レペタン、コディオン等
第三段階 強オピオイド(モルヒネ系) カディアン、MSコンチン、デュロテップパッチ等
補足説明
   ※オピオイド(Opioid)とは、脊髄や脳の中の痛みを伝える神経組織にオピオイド受容体があり、こ
     こに作用して痛みを止める薬の総称をオピオイドと言います。オピオイドには、作用の強さから
     弱オピオイドと強オピオイドの2つに分けられ、弱オピオイドにはコデインやブプレノルフィンが
     あり、強オピオイドの代表はモルヒネです。

   ※非ステロイド性消炎鎮痛剤はよくNSAIDs(Non Steroidal Anti Inflammatory Drugs
     と略号で表記されます。

   ※一般的には下記の使い方が鎮痛薬として有効と言われています。
     ・軟部組織にはオピオイド系の鎮痛薬
     ・骨転移には非オピオイド系の鎮痛薬
     ・神経の圧迫にはステロイド系の鎮痛薬
     ・神経への浸潤には抗けいれん剤や抗うつ剤

 疼痛と一口に言っても、難しいのは一箇所の痛みであっても複数の原因と、いろんな種類の痛みが存在することや、痛みの評価は患者の主観によるものですから、単一の鎮痛薬や治療法だけでは対処仕切れないところにあります。
 医師や薬剤師に疼痛緩和プログラムを効果的に組んで頂き治療効果を上げるポイントは、あなた自身が「痛みの原因を知ること(原発はどこか、転移はあるのか、手術はしたのか等々)」「痛みの種類を知ること(鈍痛なのか、さしこむ痛みなのか、痛みの強度や持続性等々)」で、この2点について医師に正確に伝えることです。
 このポイントを正確に把握して伝えることが出来れば、医師及び薬剤師は画像検査・血液検査等の結果をもとに的確な疼痛緩和治療計画が組めるわけです。
以下の資料は私が現在までに使用した主な鎮痛剤と疼痛緩和療法を大別しその効き方等についてまとめたものです。ご参考までに下記します。
 
※赤字は2003年11月11日より変更になり服用している薬です。
大別 種類 薬品名 効果が出る時間 最大効果が得られる 持続時間


ベース薬 モルヒネ系 カディアン 1.5時間 8時間 24時間
オキシコンチン(New) 1.0時間 2〜3時間 12時間
MSコンチン錠 1.5時間 2〜3時間 12時間
デュロテップパッチ 12〜18時間 24〜48時間 72時間
レスキュー薬 塩酸モルヒネ錠 10分 30分 4〜6時間
塩酸モルヒネ座剤 30分 1.5時間 8時間
非ステロイド系酸性消炎鎮痛薬 ロキソニン錠 30分〜60分 **** ****
ボルタレン座薬 30分〜60分 3時間 12時間
ボルタレンSR 30分 6時間 12時間
ソレトン **** 1.2時間 9時間
神経ブロック療法 硬膜外ブロック 即効性の効果があるが、治療後一時間の安静が必要
神経根高周波熱凝固法
くも膜下フェノールブロック 一泊二日程度の入院が必要
放射線療法
補足説明
◇上記のベース薬やレスキューの分類は、私の疼痛緩和治療プログラムの場合に於ける分類で、例え
  ば患者によってはロキソニンがベース薬の位置づけに置かれ、レスキューとして他の鎮痛薬を使用
  することもあります。
◇いろいろな種類の鎮痛薬を使用しているのは、例えば痛みが激しくカディアンを増量した結果、副
  作用の嘔吐や眠気が出現してこれ以上増量が出来ないようになった為、副作用なしで鎮痛効果を
  より高め、より良い疼痛緩和治療が可能なデュロテップパッチに変更した為等の理由からです。
   このような手法はオピオイドローテーション(Opioid Lotation)と言われ、副作用の軽減と鎮痛効
  果を高めることを目的にオピオイドを変更する手法を指します。欧米では、日本でまだ未承認の数
  多くの鎮痛剤が存在し、医師や患者はその中からより効果的なオピオイドローテーションが組める
  わけですから幸せです。
   実際、激痛で毎日毎晩まんじりとも出来ない日々を過ごしている我々患者にとって、厚生省の仕
  事のやり方(Speed)には非常に強い憤りを感じます。(失敗や責任を取らされることを恐れるあまり
  手が震えて認可できない?欧米での臨床試験データもあるわけだし・・・・・要は仕事に対する情熱
  や姿勢の問題、そして医療費3割負担も淡々とやってしまうあたりはやはり世の中の弱者救済の意
  識が全くない仕事の進め方なのでは??
◇その他の鎮痛補助薬として下記のものもあります。
  コルチコステロイド=腫瘍や炎症等によって生じる神経圧迫、腫瘍の周辺組織の浮腫を軽減し、ま
  た骨転移による関節痛等にも有効です。

◇神経ブロック(Nerve Block)療法は、皮膚の表面より注射針を刺し、神経のすぐそば、あるいは直接
  神経内に局所麻酔薬や神経破壊薬を注入して科学的に「神経を一時的あるいは半永久的に遮断
  する」療法で、上記以外に痛みの場所に対応する数多くの神経ブロックの種類や方法があります。

◇脊椎電気刺激療法(日本経済新聞2003年10月14日夕刊記事より抜粋)
  細いリード線を背骨に埋め込み、背骨の中を通っている太い神経の脊椎に弱い電気刺激を与える
  ことで痛みを和らげる療法。心臓ペースメーカーのように弱い電気刺激を与える小型電流発生装
  置を体に埋め込み、電気刺激の強さなどを微調整するもので、全国30以上の病院で実施されてお
  り、これまでに全国で1,500人近い患者に実施されている。
  
  

5.主要鎮痛薬の説明&留意点等
モルヒネ属全般
 モルヒネはオピオイド(Opioid)とも言い、麻薬系鎮痛薬です。病院では非常に厳重に麻薬管理者がその管理を行っており、患者自身も充分注意して管理しなければならないことは申し上げるまでもありません。またルーズな管理による誤った使用方法は(飲み忘れ、服用量違い等)痛みを和らげることなく副作用や重大な結果を招くことにつながります。主治医、薬剤師による正しい指導の元で使用して下さい。以下使用方法や効果等を列挙します。
 
1)モルヒネの使用判定について
   モルヒネは人によって効果が違うことから、患者の反応を検討して(催眠傾向の有無
   や疼痛のあるなし及び服用後の疼痛軽減のありなしで)ベースとなる鎮痛薬や鎮痛
   補助薬(レスキュー薬)の使用方法を主治医、薬剤師が検討します。
 2)モルヒネの再服用間隔について
   通常2時間あけても尚痛みが強い場合は再度服用は可能ですが、基本的には服用
   は4時間程度あけて服用する方が無難です。これも主治医、薬剤師の指導を仰いで
   下さい。
 3)モルヒネの種類と効果・持続時間について
   モルヒネの種類によって、効果が得られる時間や持続時間が違います。(前述の
   「4.疼痛緩和の基本的な考え方」をご参照下さい)
   例えば、腸の手術を受けて腸が極端に短くなっている私の場合は、錠剤ではモルヒネ
   が充分吸収されない内に錠剤が体外へ排出される恐れがある為、デュロテップパッチ
   が最も効果的なモルヒネとなりました(現在は新薬オキシコンチンに変更)。主治医、
   薬剤師の説明を良く把握して正しく使用して下さい。
 4)鎮痛効果増が期待できる使用方法について
   痛みの種類によっては「モルヒネ」+「非ステロイド性消炎鎮痛薬」の併用が効果的
   です。
 5)モルヒネを始めるタイミングについて
   他の鎮痛薬効果が無い場合、モルヒネを服用します。
 6)モルヒネの鎮痛効果について
   非ステロイド系鎮痛剤は癌が進行するに従って効果が落ちますが、モルヒネはどの病
   期でも一定の鎮痛効果をもたらします。

 7)増量の限界について
   患者に必要な量であるならば限界量というものはありません。非ステロイド鎮痛剤では
   常用量の2〜3倍増量が限度です。
 
 8)モルヒネが効きにくい痛みについて
   おおよそ90%の患者に対して鎮痛効果が得られますが、残り10%の患者には疼痛
   が軽減できても完全に除痛できない場合があります。これらは骨盤内腫瘍(直腸癌、
   子宮癌)等々で、このような場合にはモルヒネに固執することなく神経ブロック療法や
   放射線療法等の他の治療方法を検討すべきです。
 9)疾患を有する患者のモルヒネ使用について
   腎不全、肝不全、甲状腺機能低下状態の患者のモルヒネ使用は注意が必要で、必
   ず主治医の指示を守りましょう。

 10)依存症について
   医師、薬剤師の指導のもと、モルヒネを鎮痛目的で使用している限りは依存症の心配
   は一切ありません。またモルヒネの長期使用が突然中止された場合、退薬症状が出
   ることがありますが、漸減しながら中止する手法を採れば退薬症状が出ることはありま
   せん。
 11)モルヒネの使用中止方法について
   服用を中止する場合は漸減していきます。目安としては下記のようになります。
    ・100r/日以下の服用の患者の場合は一週間かけて漸減、中止します。
    ・100〜300r/日服用の患者の場合は二週間かけて漸減、中止します。
    ・300r/日以上服用の患者の場合は三週間かけて漸減、中止します。
 12)副作用について
   便秘は必ずと言って良い程発生しますが、その場合ラキソベロン等の排便促進剤
   が治療薬として併用されます。また服用開始初期には吐き気や眠気、発汗、幻覚
   の症状が出る場合もあります。
デュロテップパッチ
 1)フイルム上にモルヒネが塗り付けてあり、体に貼り付けて使用します。
   侵襲性が少なく、一回貼ると三日間効果が持続しますが、最初に効果が発現するま
   での時間が12〜18時間と長いので貼り替えるタイミングを良く見極めて使用する必要
   があります。
 2)次の貼り替えまで3日間もある為、貼り忘れが多くなりますので注意が必要です。カレ
   ンダー等に貼り替える日の印を付ける等の貼り忘れ防止策が必要です。
 3)経口鎮痛剤と違って直接的な胃への負担が無い為、胃腸障害のある患者や腸の手
   術を受けて腸が極端に短くなっていて錠剤ではモルヒネが充分吸収されない内に錠
   剤が体外へ排出される恐れがあるような患者にとっては大きなメリットとなります。
 4)眠気、めまい、便秘が起こることがあります。また服用継続中に急激に量を減らしたり
   服用を中止すると副作用が強く出ることがありますので、医師または薬剤師の指導を
   仰ぎながら用法・用量を守るようにして下さい。その他の注意事項は「上記モルヒネ
   属全般」の項をご参照下さい。
 5)デュロテップパッチの鎮痛作用をカディアンと比較すると下記のようになります。
規格 放出速度 カディアン換算量
2.5 0.6r/日 60〜90r/日
5.0 1.2r/日 120〜180r/日
7.5 0.6r/日 180〜270r/日
10.0 0.6r/日 240〜360r/日
カディアン
 1)持続性癌疼痛治療剤で一日一回の服用でペインコントロールが可能です。
 2)効果が出始める時間は1.5時間程度で、最大効果が出るのは8時間と非常に安定した
   効果を得ることが出来ます。
 3)眠気、めまい、便秘が起こることがあります。また服用継続中に急激に量を減らしたり
   服用を中止すると副作用が強く出ることがありますので、医師または薬剤師の指導を
   仰ぎながら用法・用量を守るようにして下さい。その他の注意事項は「上記モルヒネ
   属全般」の項をご参照下さい。
MSコンチン
 1)内服のモルヒネ製剤では最も汎用される鎮痛剤で10mg、30mg、60mgの3種類があ
   ります。
 2)効果が得られる時間は服用後1.5時間で、最大効果は2〜3時間、持続時間は12時間
   となっていますので、一日二回(朝と夜)の服用が必要です。
 3)眠気、めまい、便秘が起こることがあります。また服用継続中に急激に量を減らしたり
   服用を中止すると副作用が強く出ることがありますので、医師または薬剤師の指導を
   仰ぎながら用法・用量を守るようにして下さい。その他の注意事項は「上記モルヒネ
   属全般」の項をご参照下さい。
オキシコンチン(New)
 1)2003年4月に認定され7月に発売された新しいアヘンアルカロイド系鎮痛剤で5,10,20,
   40rの4種類があります。
 2)効果が得られる時間は服用後1.5時間で、最大効果は2〜3時間、持続時間は12時間
   となっていますので、一日二回(朝と夜)の服用が必要です。
 3)通常のモルヒネと比べ、2/3の投与量で済む為、副作用の軽減と鎮痛効果を高めるこ
   とを目的に、他のモルヒネでのコントロールが難しい患者に使用します。(オピオイド
   ローテーション)

 
4)眠気、めまい、便秘や吐き気等が起こることがありますがモルヒネと比べると副作用は
   比較的小さいようです。
塩酸モルヒネ錠
 1)即効性があり10分程度で効き始め4〜6時間の持続性があります。基本的にレスキュ
   ーとして使用される鎮痛薬で、錠剤のほか座剤もあります。
 2)服用開始量は10r/回で、痛みの度合いに応じて4〜6時間毎に服用します。(4時間
   間あければ再服用が可能)
 3)増量は原則として10rから順次行い増量のつど痛みが軽減し、痛みが消失する投与
   量を求めるようにします。
 4)塩酸モルヒネ錠と非ステロイド系酸性消炎鎮痛剤(NSAIDs)の分類に属するロキソニン
   やボルタレンとの併用は、作用機能が違う為悪くはなく、むしろ併用することが効果的
   であることがWHOや日本緩和医療学会でも推奨されています。
 5)眠気、めまい、便秘が起こることがあります。また服用継続中に急激に量を減らしたり
   服用を中止すると副作用が出ることがありますので、医師または薬剤師の指導を仰ぎ
   ながら用法・用量を守るようにして下さい。
ロキソニン
 1)ロキソニンが属する分類について
   アスピリンやボルタレンと同じ非ステロイド系酸性消炎鎮痛剤(NSAIDs)の分類に属す
   る解熱消炎鎮痛剤ですが、痛みの原因そのものを治すことは出来ません。
 2)用法について
   通常、成人で一回につき1錠(60r)で一日3回服用します。最大180rの服用を限度
   として、空腹時の服用は避けるようにします。
 3)ロキソニンの使用が不可の人について
   次の項目に該当する患者は使用できません。
    ・消化性潰瘍のある人
    ・重篤な血液の異常がある人
    ・重篤な肝障害及び腎障害のある人
    ・重篤な心機能不全がある人
    ・アスピリン喘息を起こしたことがある人
    ・妊娠末期の女性
 4)副作用について
   非ステロイド系酸性消炎鎮痛剤に共通する副作用として下記の副作用が起こることが
   あります。特に胃障害は発生しやすく、服用に際しては胃粘膜保護作用のある胃薬
   の併用が効果的です。以下のような症状が起こった場合や疑われる場合は、服用を
   中止し、速やかに医師の診察を受けて下さい。
    ・胃障害(胃腹部不快感、胃痛、吐き気等)
    ・肝機能障害
    ・溶血性貧血
    ・急性腎不全、ネフローゼ症候群
    ・発熱、咳、呼吸困難を伴う間質性肺炎
    ・発疹、かゆみ
   ※胃の粘膜にはCX-1(サイクロオキシナーゼー1)という胃粘膜の血流保護や細胞増
     殖に関係している酵素があり、ロキソニン等の痛み止めを使用した時、痛みは和ら
     ぎますが胃の粘膜にあるCX-1酵素も阻害されて少なくなり、結果として胃障害が
     起こります。
     一般的にはロキソニンやボルタレン等を投薬された時は、胃粘膜保護作用のある
     胃薬が一緒に処方されます。
ボルタレン
 1)ボルタレンが属する分類について
   アスピリンやロキソニンと同じ非ステロイド系酸性消炎鎮痛剤の分類に属する解熱消
   炎鎮痛剤です。
 2)用法について
   通常、成人で一回につき1錠(60r)で一日
回服用します。最大120rの服用を限
   度として、空腹時の服用は避けるようにします。(座薬50rもありますがこの場合100r
   が限度)
 3)ボルタレンの使用が不可の人について
   次の項目に該当する患者は使用できません。
    ・消化性潰瘍のある人
    ・重篤な血液の異常がある人
    ・重篤な肝障害及び腎障害のある人
    ・重篤な心機能不全がある人
    ・アスピリン喘息を起こしたことがある人
    ・妊娠末期の女性
 4)副作用について
    非ステロイド系酸性消炎鎮痛剤に共通する副作用として下記の副作用が起こること
    があります。ロキソニンの項目の※印で詳しく述べましたように、特に胃障害は発生
    しやすく、服用に際しては胃粘膜保護作用のある胃薬の併用が効果的です。
   以下のような症状が起こった場合や疑われる場合は、服用を注し、速やかに医師の診
   察を受けて下さい。
    ・胃障害(胃腹部不快感、胃痛、吐き気等)
    ・肝機能障害
    ・溶血性貧血
    ・急性腎不全、ネフローゼ症候群
    ・発熱、咳、呼吸困難を伴う間質性肺炎
    ・発疹、かゆみ
    ・急性脳症
    ・無菌性髄膜炎 

ソレトン
 1)ソレトンが属する分類について
   非ステロイド系酸性消炎鎮痛剤(NSAIDs)に属する腫れや痛みを和らげる薬です。
   レスキューとしての役割を担う鎮痛薬ですので、痛みの原因そのものは治せません。
 2)用法について
   一回1錠を一日3回服用します。服用後1.2時間で最大効果が得られ、持続時間は
   9時間です。
 3)副作用について

   鎮痛薬としては副作用の少ない系統で、特に胃腸への副作用が少ないとされていま
   す。
   但し、胃十二指腸潰瘍の人は悪化する傾向にありますので注意が必要です。

6.その他参考資料
1)疼痛推移及び服用薬管理表の必要性
  私の場合は別記のような管理表を毎日記録しており、診察の際に主治医に表を見せな
  がら特に変化の著しい点等について説明をすることで、より客観的な指導が受けられる
  ようにしています。
  管理表の利点は下記です。
    ・疼痛の度合いが時間変化と共に客観的に数字で把握できる。(医師に解りやすく
     伝えることが出来る)
    ・疼痛が薬の服用でどのように変化しているかが一目瞭然であり、今後の鎮痛薬の
     選択が容易になります。(どの鎮痛薬が効果的かが判断できる)
    ・飲み忘れの防止等、薬の服用が正しく管理できる。
    ・他の項目も記録しているので、疼痛変化、鎮痛薬服用時間も含めて体調の変化が
     マトリクスに把握ができる。

2)モルヒネ鎮痛剤参考価格
  
私が最も不満に感じている点で、別記するようにモルヒネの価格は非常に高く、これで
  はいくら痛みがひどいからといって安心して使用することは出来ない状況です。
  患者の痛みはダブル(肉体的痛みと金銭的な痛み)で襲ってくることになり、厚生労働
  省が如何に国民の現状を把握しないで医療制度を勝手に変えているかが解ります。
製品名 単位 価格(円)
デュロテップパッチ 2.5r/1枚 3,619
5.0r/1枚 6,803
7.5r/1枚 9,842
10r/1枚 12,790
カディアンカプセル 20r/1カプセル 574
30r/1カプセル 828
60r/1カプセル 1,563
MSコンチン 10r/1錠 270
30r/1錠 778
60r/1錠 1,457
オキシコンチン  5r/1錠 154
10r/1錠 288
20r/1錠 540
40r/1錠 1,012
塩酸モルヒネ錠 10r/1錠 117
(※H12年度資料より抜粋)

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